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あたしはいつも不器用だった。 それは遡ったらかなり長い。 あたしは小さい頃からずっと、空回りしてばかり。 好きな人には、アタックしてきた。 全部あたしから告白。 でも断られちゃうの。 それはきっとあたしが不器用だから―――。 「乙葉ー」 下から聞こえてくるのは、お母さんの声。 「んんっ…」 「起きないと、遅刻よーっ」 「えっ!」 バッと起きて、目覚まし時計を見た。 「6時半.....って、全然間に合うじゃん」 「起きてるのー?」 ゆっくりとした抑揚で言ってくるけど、あたしはノソノソ布団から出る。 今は、夏。 もうすぐで夏休み。 なのに、学校はギリギリまで授業。 ついでに、あたしの名前は、木ノ下乙葉。 どこにでもいそうな、平凡な家庭に生まれた。 「高校生って、萎える」 頭をポリポリ掻きながら下りたら、お母さんとお父さんがテレビを見てた。 「乙葉。お前、成績は」 テレビに目を向けたまま、お父さんはあたしに手を出してくる。 朝イチからこれかよ。 「はあ。ちょっと待ってて」 また来た道を戻り、棚から成績表を漁る。 「あ、コレかな」 お父さんは、あたしの成績にしか興味がない。 それは、社会人になったお姉ちゃんがスッゴク頭が良かったから。
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