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「あたし用事があるから.....。ごちそうさま」 パンを残したまま、立ち上がる。 「待ちなさい」 あたしはお父さんの言葉を無視して、すぐに自分の部屋に駆け込んだ。 扉を閉めたら、ヘナへナと力が抜ける。 「.....ぅ....っく」 泣くな。 絶対に泣いちゃダメだ。 あたしは強い。 弱くなんかない。 ゴシゴシ涙を拭い、あたしは鏡を見る。 「....大丈夫」 腫れてはない。 でも.....。 口の中が痛い。 手で頬っぺたを触ると、ジクジクと痛みが増す。 一応軽くファンデーションを塗っておいた。 .......菜摘に心配かけたくないし。 あたしは素早く支度をして、委員会の集合を気にする。 大丈夫。 まだ間に合う。 階段を下りたら、ちょうどお弁当が置いてあった。 お母さんか。 フッと笑って、あたしは靴を履く。 「......いってきます」 お弁当を持ち、あたしはこの嫌いな家を後にした。
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