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「カズヤッ!!」
人魚達の輪の中に勢いよく飛び込む。
突然の出来事に呆気に取られている人魚達を余所に、意識の無いカズヤの身体を抱え、上へと泳いでいく。
力を失ったカズヤの身体の重さが、最悪の事態を予感させた。
…カズヤッ…!
死んじゃダメだ!
カズヤッ!!
飛沫を上げながら海面から顔を出す。
波は激しくうねり、強い雨が私とカズヤの顔に打ち付けた。
顔をしかめながら辺りを見渡し、近い岩場に向かって泳ぎ出す。
カズヤはまだ意識が無かった。
「…もう少しだっ…、カズヤッ…」
カズヤの身体を引きずるように、うねる波の中を必死に泳ぐ。
なんとか辿り着いた岩場にカズヤの身体を上げようとした瞬間、背後から怒声が投げ掛けられた。
「カチュナツ!何をしてるのよ!」
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