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小さな、小さなカズヤの後ろ姿が、私の視界から完全に消えた。
「…っうあぁぁぁぁっ!」
私はやっと、声をあげて泣いた。
無理矢理抑え込んでいた感情が、堰を切って溢れだす。
私にはもう何も無い。
帰る場所。
共に群れる仲間。
優しい姉、カチュア。
…大好きな…カズヤ。
全て、全て失った。
涙が溢れる両目を手で覆う。
心も視界も深い闇に包まれて、息が苦しい。
どっちが前か後ろかわからなくて…どこに行けばいいのかわからない。
「カズヤ…カズヤッ…!私どうすればいいんだっ…?」
その時、闇の中で微かに灯ったカズヤの言葉。
『僕、また会いに来るからっ!』
目を覆っていた手を離し、涙で濡れた顔をあげる。
カズヤが残していってくれた、希望の言葉。
私の道標…。
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