第15章

3/24
前へ
/112ページ
次へ
振り返ると、少し離れた海から顔を出したフィルシャとその仲間達が、険しい顔で私を見ていた。 「…助けるんだよ」 「何で人間なんかを助けるのよ!人間を助けるって事がどういう意味だかわかってるの!?」 嵐の中、フィルシャの叫び声を聞きながら、カズヤの身体を岩場に上げる。 「聞いてるの!?カチュナツ!!」 「……」 自分も岩場に上がり、意識の無いカズヤの頬を叩く。 「カズヤッ!!カズヤッ!!」 青ざめたカズヤの唇に手を触れ、言葉を失った。 …息をしていない…。 真っ白になった頭の中で、瞬時に思い浮かんだカズヤを救えるかもしれない手立て。 …口から息を吹きいれれば…。 人間への口付けが禁忌だとか、 フィルシャや仲間達が見ているとか、 躊躇している時間は無かった。 覚悟を決めカズヤに顔を近付けた時、遠巻きの人魚達から悲鳴が上がる。 「…カチュナツ!!」 カズヤに口付けをする直前、カチュアの声に呼び止められ、顔を上げた。 少し離れた海の中から岩場を見上げているカチュアは、顔をクシャクシャにして泣きながら、首を激しく左右に振っていた。 .
/112ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加