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『カチュナツをここから離れるよう、説得してほしいの』
…あぁ、そうだ。
ナツがこのままここにいたら、死んでしまうんだ…。
説得、しなきゃ。
…また…さよならしなきゃ…いけないんだ。
信じ難い現実に、グラリと目眩がする。
「…けほっ」
不意に出た咳を手で受け止めると、息が何だか熱い。
…てか、自分具合悪かったんだっけ…。
手の甲で額に浮かぶ汗を拭って、空を見上げる。
僕の辛い心情なんか関係無しに、空は雲一つなく快晴。
今の状況が、回想でも夢でも無いんだって、強く照りつける太陽がそう言ってる。
「……カズ…ヤ?」
意識を取り戻したナツに呼ばれ、ハッとする。
自分の腕の中にいるナツが、眉間に皺を寄せながら、僕を見ていた。
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