第16章

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『カチュナツをここから離れるよう、説得してほしいの』 …あぁ、そうだ。 ナツがこのままここにいたら、死んでしまうんだ…。 説得、しなきゃ。 …また…さよならしなきゃ…いけないんだ。 信じ難い現実に、グラリと目眩がする。 「…けほっ」 不意に出た咳を手で受け止めると、息が何だか熱い。 …てか、自分具合悪かったんだっけ…。 手の甲で額に浮かぶ汗を拭って、空を見上げる。 僕の辛い心情なんか関係無しに、空は雲一つなく快晴。 今の状況が、回想でも夢でも無いんだって、強く照りつける太陽がそう言ってる。 「……カズ…ヤ?」 意識を取り戻したナツに呼ばれ、ハッとする。 自分の腕の中にいるナツが、眉間に皺を寄せながら、僕を見ていた。 .
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