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「…おはよ。具合、大丈夫?」
ナツの額にかかるダークブラウンの髪をそっと掻き上げ、手のひらをあてた。
ついさっき見た過去の幼いナツが思い出されて、何か変に緊張する。
ナツはまだ朦朧としているのか、ぼんやりと僕の顔を見つめていた。
「…カズヤ」
「何?」
「変な顔」
「………」
……悪かったね。変な顔で。
ナツが手を伸ばして、僕の目尻辺りをそっと撫でる。
「…泣いたのか?」
「え」
「目、腫れてる…」
「あ…」
ナツの暴言の意味を理解して、慌てて手の甲で目を擦る。
「違うよ。ちょっと目にゴミが入っただけ」
「…そか」
ナツがゆっくりと身体を起こし、 僕の腕の中から離れる。
キョロキョロと辺りを見回して、怪訝そうに呟いた。
「……あれ?……カチュア……てか、私何で寝て……?」
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