第15章

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いつも冷静で、涙など見せた事の無いカチュアが、取り乱して泣いていた。 …カチュア…。 私の唯一の理解者。 はみ出し者で、手がかかって、一人ぼっちの私に、いつも優しい笑顔で隣にいてくれた。 カチュア、ありがとう。 カチュア、ごめん。 視界が涙で歪んでいく。 雨に濡れた頬の上を、大粒の涙が伝う。 カチュア。 私にはカチュア以外にも大切な人が出来たんだ。 私を大切に想ってくれる人が出来たんだ。 全てをなげうってでも、守りたい人が出来たんだ。 目を強く閉じ、もう一度カズヤの身体に向き合うと、ゆっくり顔を落とした。 カズヤの唇に自分の唇をあて、強く息を吹きこむ。 降りしきる雨音と、岩場を打ちつける波音に紛れて、カチュアの泣き声と人魚達の悲鳴が聞こえた。 顔を離して強く息を吸い、何度も何度も、カズヤの体内に息を吹き入れる。 目を覚まして、カズヤ。 生きて、カズヤ。 …生きて…。 カズヤ…。 カズヤ…! .
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