第15章

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「…カチュナツ、こっちに来なさい」 「……はい」 その日の夜、私は長に呼び出された。 「フィルシャから聞いたわ。人間を助けて口付けしたと言うのは本当?」 「…本当です」 闇が支配する海底。 微かな月明かりに照らされて、長の眼光が鋭くなったのが見えた。 それでも私は目を逸らさなかった。 悪い事をしたつもりは無いし、後悔していなかったから。 「…愚か者!お前などもう仲間でも何でもない。汚らわしい裏切り者め…!」 長が目を細め、口元を手で覆う。 私と一緒の空間にいるのさえ、耐えられない振る舞い。 「すみませんでした。…二度と仲間達の前に現れません」 「当たり前よ!」 長が声を荒げた。 「人間にも報いが必要だわ」 冷たい長の言葉に、思わず身を乗り出す。 「カズヤはっ…、人間は何も悪くありません!私が全て報いを受けます!だからっ…」 「これ以上私に近寄るなっ!」 「……っ」 強くいさめられ、唇を噛み締めた。 「…人間が二度と仲間達の前に現れないよう、人間の記憶を消します。」 後退し、小さな声で長に懇願する。 .
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