第15章

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「だからっ…、だから人間にはどうか手を掛けないでくださいっ…」 深くお辞儀をしていると、長が鼻で笑う声がした。 「そうまでして人間の肩を持つのか。人間なんかに毒されて…哀れな子」 「……」 「お前が全ての報いを受けると言ったな?」 「…はい」 「どう報いを受けると言うの?」 下げた頭をゆっくり上げると、蔑んだ目で長が私を見ていた。 怯みそうになる気持ちを奮いたたせて、長を見据える。 「命尽きるまで一人、汚染された海域に身を置こうと思っています」 「……」 長が片方の眉をピクリと上げた。 「随分な覚悟ね」 「……」 「いいわ。汚染された海域で身を心も汚染されて、一人虚しく朽ち果てればいい」 長が釘を刺すように、声を低くする。 「二度と、二度と私達人魚の前に姿を現すな」 一方的に打ち切られた話。 長は尾びれを強くなびかせ、深い闇に包まれた海底の方へと姿を消した。 私はその光景を、まるで夢でも見ていたかのように、ただぼんやりと見ていた。 .
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