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遠い水平線から燃えるような太陽が、小さく顔を出す。
赤く染まった波が太陽の光を反射して、白くキラキラと光りを放っていた。
「……キレイ」
汚染された海域の、カズヤと出会った岩場。
そこに上がって、朝日をぼんやり見ていた私は、ポツリと呟いていた。
禁忌を犯してしまった私への制裁。
辛くない、怖くないと言ったら嘘になるけど、
今不思議と穏やかな気持ちだった。
この場所に来れば、いつでも思い出の中でカズヤと会える。
そう信じて、私はこの場所に一生身を置く覚悟を決めたから、かな…。
岩場の縁に腰掛け尾びれで海面をかくと、ピリッと小さな痛みが走る。
通常300年は生きる事が出来る人魚。
けれど…ここにいれば、きっと私は何十年も生きる事が出来ないと思う。
…それでもいい。それでも…
「カチュナツ…!」
聞き覚えのある声に呼ばれて、慌てて顔を上げる。
少し離れた海面から顔を出したカチュアが、哀しそうに私を見ていた。
「…カチュア!…なんで…。駄目だ、私なんかと関わったら…!」
カチュアに駆け寄りたい気持ちを抑えて、岩場から身を乗り出す。
カチュアが泣きそうな顔で首を左右に振った。
「カチュナツこそ…駄目よ!…こんな所にずっといたら…いたら…死んでしまうわっ…」
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