2人が本棚に入れています
本棚に追加
キィィ…ン。
キィィ…ン。
二つの甲高い音と共に蟲の骸は幾つかのミタマネに姿を変え、バードのポシェットに吸い込まれた。
ボゥゥ…。
右手に握った剣は今だ赤い炎と燻る音を放つ。
「ふぅ…」
ため息をつき頭上を見上げる。
その遥か上にはドームの天井、人工の空、フェイクスカイが広がっている。
頭上に広がる偽物の空は弱い光で早朝を演出している。本物の朝日も早朝も見たことも無い。ただ知識として知っているだけだ。
特に意味も無く、呆然と見上げる。
一体今まで何度同じように空を見てきただろう?
人工の空は何年経っても変わらない。
変わったのは見上げる自分だけだ。
「いつか…、か…」
独り呟く。
最初のコメントを投稿しよう!