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「ギッ!」
短い呻きと共に蟲が爪を降り下ろす。
バードは両手を広げ重力に身を委ねる。
重力はゆっくりとバードを引き寄せる。
ブゥーン…。
ガッ。
蟲の爪はバードの体の僅か前を切り裂き壁に刺さる。
バードの体は更に加速しながら地面に吸い寄せられる。
「ギィー!」
蟲が何かしらの感情を伝えるかの様に叫ぶ。
数秒後、約10メートルほど落下したあたりで頭から落ちていた体を反転させ、上方の蟲を見上げる。
左手を蟲に向け、左手人差し指にはめた指輪を少し回転させ、カチリと押し込んだ。
バッシュゥー!
バードの左手甲の付け根から赤い閃光が迸る。
ガッ!
放たれた赤い閃光は蟲たちの少し上の壁に当たり動きを止める。するとまるで焼けた鉄が冷めて固まるかの様にその色を赤から黒に変え、1本のワイヤーに姿を変えた。
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