第4章 ―ラバウル航空撃滅戦―

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ラバウル航空隊― これは通称であって制式部隊名称ではない。 しかし帝国海軍航空史を語るうえで決して忘れられない航空隊名として、帝国軍人はもとより帝国臣民に親しまれた部隊である。 何故かこの時代に飛ばされた俺にも、ラバウル航空隊の名は哀愁と悲壮を思い出させる名であった。 我々の歴史において、ラバウルに勇躍進出した我が精鋭航空隊は次々と消耗し、優秀な熟練搭乗員達がその貴重な命を散らせて逝った南国の地…。 しかし、新生帝国のラバウル航空隊は俺の記憶するそれと違い、その規模と内容が飛躍的に刷新されていたのである。 台南航空隊の装備機は零戦から最新鋭機の烈風に更新され、その他の戦闘機隊も次々と烈風が配備されて行き、同時期の連合軍戦闘機を遥かに凌駕する性能でそれらを駆逐せるものと確信していた。 また、高雄航空隊をはじめとする陸上攻撃隊は一式ライターこと一式陸上攻撃機一一型から防弾装備万全の三一型へと機種転換し、多くの搭乗員達を南十字星の輝くラバウルの地へ帰還させてくれるに違いない。 こうして俺の記憶とはまったく違うラバウル航空隊の新たな歴史が、暁の新生帝国に今まさに築かれんとしていたのであった。image=95704557.jpg
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