第2章 ―帝国科学技術研究所―

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普段、天皇陛下に謁見できる人々は限られており、大臣といえども簡単に謁見はできなかったのである。 そこで山本長官は一計を案じ、天皇陛下の弟君、高松宮宣仁殿下が急病になった事として海軍病院に入院させて天皇陛下の行幸を願い、そこで乃木所長は軍医に成り済まし山本長官は海軍を代表して天皇陛下のお迎え役をし、俺は長官付き士官としてお車のドアの開閉等のサポート役をする事になった。 天皇陛下にはあらかじめ、宣仁殿下より乃木所長や研究所の件は言上されており、もちろん仮病の事もまた偽軍医の事も御承知されており身辺警護の兵は、特に陛下の親任の厚く口の堅い者が選ばれ行幸の内実を知らせてあった。 このように手の込んだ事をするのはあくまでも、乃木所長と山本長官のある計画を外部の人間に知られない為であり、帝国の未来を明るいものにする為なのであった。 そして天皇陛下の行幸当日を迎え、お見舞いは無事に行われ、天皇陛下と宣仁殿下、山本長官、乃木所長による会談はその病室で秘密裏に行われたのである。 その模様は俺がセットしたハンディカムにしっかりと収められたが乃木所長により封印され、その後も公開される事はなかった。
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