再会

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僕がなぜ悲しめるだろうか? 僕らを捨てた父と、その片棒を担いだ嫁、その子供たちを、僕は笑って許してやるほど既に綺麗な心はなかった。 その事を、あの夏に洸にした事への言い訳に使っているのは、間違いなかった。 そして、洸との再会の日がきた。 足りない家具は、洸の部屋の寝具や机などだ。これは最初一緒に買いにいき、久しぶりのコミュニケーションを図るためだった。 高校を卒業して、2日目で震災にあった洸、もう18歳になった。 あの小さい洸が、「女」になっていた。
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