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姉に千葉の避難所の住所を聞き、役2時間で到着した。
番号は事前に聞いていたので、かけてみた。
これから同じく一緒に住むというのに未だ連絡の一つも取り合っていない事の奇妙さにその時気付いた。
コールが鳴る。
四回ほどなって、コールが止んだ。
「もしもし?」
おっ、久しぶり。俺だ、ヤマトだ。元気か?
こうやって明るく言いたかった。
「あー・・、今避難所の前にいるぞ」
結果はこんなものだ。
この時もそうだ。あの夏、洸は起きていたのかもと思うと、僕は気がきではなかったのだ。
あっはい。そう言って電話が切れると、リュックを一つだけ持って、大人になった洸が眼前へと向かってきた。
大きく、心臓がなった。
洸は、成長していた。少し幼げで、化粧もなにもしていないようで、飾り気がなかったが、可愛く、体も女の体だった。
「久しぶり、やっくんうける」
喋り方は、今時の若い女だ。
「おう、荷物それだけ?とりあえず行くか」
自然だった。会ってしまえば、自然に話しが出来た。
友達の両親への挨拶と、手土産を済ませ、僕らは車に乗り込み、2時間の距離をかけて、新居へと向かった。
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