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車での会話は、懐かしい話しがやはり主だった。
あの夏の事も話したが、洸はあっけらかんとした様子で、気づいているとは考えにくかった。
それでも洸が、そういえば!と思い出したように返すたびに心臓がキュッと締め付けられた。
そして震災の話しもした。
洸は、押し迫る船の大群と津波から、友達の家の車で逃げた事、何度も両親や他の兄弟に連絡をとったのに繋がらなかった事、今でも信じられない事、それでも何とか大丈夫と、強い事。
大泣きしたのだろう、瞼はまだ腫れていた。
こいつを守ると、その時に思った。あの小さい頃のようにそれ以上の気持ちで、そう思った。
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