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「ルナ~!そろそろ起きなさい!遅刻するわよ~」
階段下から聞こえる母の声……
布団にくるまって爆睡していた私は何時ものように、ガバッと寝床から起き上がる。
「やっば!もう8時半だ!!」
自転車で30分かかる公立高校に通っている私は、支度も含めると8時に起きていないと間に合わない。
その為、昨日母が掛けておいた制服に急いで着替えると、朝食も食べずにバックを持って外へと駆け出した。
「ごめん!お母さん!行ってきまーす!!」
「あ、ルナ!朝食は~!?」
母の掛け声などこの際無視し、急いで自転車に飛び乗る。
「どうか朝のミーティングに間に合いますように!!」
……この時、私の頭の中はそればかりで全く周りを見ようとしていなかった。
住宅街の見通しの悪い交差点、車やバイクも頻繁に通るため本来であれば気を付けるのだが、そこを全力疾走で抜けようとする私……。
「あ!あぶない!!」
「ーーえ?」
ドンッ!!
『キャーーー!!』
響き渡る歩行者の悲鳴…
微かに視界の端で、迫り来るバイクを捉えーー…
私は、宙に浮いた。
左から来たバイクと激突した私は、その反動から電信柱に頭を思い切りぶつける。
ーー痛い!!
ナニコレ……
。
私……死ぬの……?
身体中を駆け巡る激痛に意識が段々朦朧としてくる。
じわじわと流れる血だまりの中薄れ行く意識とともに少女は願った。
ーー何でもいいから、生きたい……と。
『ーー汝の願い。叶えよう……』
その瞬間、脳内に響いた声とともに私の意識はシャットダウンしたのである。
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