枕屋“喫茶野良犬”店へようこそ。

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 ああ、そういう事か。  俺は心の中で相槌を打つ。  喫茶店の中の10分の9は遊戯場になっている。  ビデオプロジェクターのスクリーンかと思うほどの大型テレビが壁に設置されていたりして、俺の頭の中には大きなクエスチョンがうかんでいたところだった。 「たまにビリヤードとかダーツは使ってるよ。私用だがな。ポーカーとブラックジャックの台は宴会の時とかには使うかな。」  聞いてもいないのにオーナーが答えてくれた。  俺の頭からクエスチョンは綺麗サッパリ消えてなくなった。 「あ、薙ノ宮さんはこの街には初めてきたんだよな。ちょっとこの街の面白い話聞いてみないか?」  唐突にオーナーに聞かれ俺の頭の中には大きなクエスチョンマークが再来する。  いや問題点は聞かれたそれではない。 「なぜ俺の名前を知っているのか?って顔だね。ちょっとした情報屋も兼業でやってるから街の事には詳しいんだ。基本裏稼業専門なんだがな。」  そうそれだ。  この街に初めて来たばかりかまだ俺はこのオーナーに名前を言っていないはずなのだ。
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