量産型ヒーロー、ブラックマン。

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 ある時間帯、とある女子高生は走っていた。  休日である事を知らずに。 「遅刻~~!なんで起きれなかったのよ私!」  余程パニクっているのだろう。食ぱん片手に独り言を叫びながら学校に向かう。  同じ時間帯、同じ高校に通い同じクラスに在席する男子高生は輝いていた。  本来なら小さな子供向けの戦隊ヒーロー物とライダーヒーロー物の番組を見終わって。 「おわぁ~!やっぱりカッコイイなヒーローは!よし、今日も街のパトロールしにいこう。母さん!街の平和を守る為にパトロール行ってくるね!」  もう頭が手に負えない状況になっているのだろう。  部屋着から普段着に着替えるのにわざわざ 「く、悪の組織め!これ以上の横暴俺の目が黒いうちは許しはせぬぞ!変身!」 と何か色々と混ざった迷言を喚き、家を出る時も 「この俺がいる限り!この街の平和はそこそこ守る!」 と叫びながら出ていった。  途中井戸端会議中のおばさん軍団から 「あれ関さんとこの息子さんじゃない!?」「え!?まーくんがいるの!きゃー!まーくん!」「まーくん今日も頑張ってね!」「雅史くんも立派になったわね!」「まーくんこっち見てきゃー!」「あの爽やか笑顔で今日も1日頑張れるわ~」 と何故か黄色い声を浴びながらも男子高生は走る。  本気で街の平和を守る為に。
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