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かつて友人から肩代わりしたこの役目を与えられてから、どれほどの時が経ったのか…――、果てしなさすぎてもう覚えていないし数えてもいない。
ただ、友人が結婚し産んだ息子が娘を産み孫を溺愛し、さらにその孫が曾孫を愛で、同年代だったはずの友人が祖先と呼ばれるほど偉大な存在になるまで、俺はこの村で役目を務め続けた。
その間、王族は魔族と幾度となく戦争をし、幾度となく勇者は魔王を封印し、魔王は復活した。
俺はそれらの事実を噂に聞きながらも、ただコボルトに襲われ、勇者に助けを求める生活を続けていた。
そんなある日、俺の元に一枚の手紙が届いた。
「満期終了のお知らせ…?」
質素な紙に、完結に書かれた内容は3つ。
1つ。
不老不死である俺には寿命による役目終了勧告ができないので、一千万回、役目をこなしたことで役目を一旦務め終えたとする。
1つ。
あと5回で一千万回に到達する。
1つ。
役目を務め終えたのち、再び一千万回役目を続けるか。もしくは特権を返却し、役目を委託することができる。
「こういう、ことかよ…」
ぐしゃ、とその手紙を握りつぶす。
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