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第9話
「…フェリ、御免。
俺は結局…誰かを巻き込むことしか出来ないから…」
サラマンはそう呟き、フェリを滅びの谷の近くに下ろした。
手当てはした。しかし、このまま何も知らぬままでは、フェリはいつか力の使い過ぎで、倒れてしまう。そう考えたサラマンは、自分の住まう國へと導くことにしたのだ。
滅びの谷から、龍の國まで、歩いても三十分はかからない。
きっと、フェリは辿り着くだろう。
「先に行って…待ってる。
…またな、フェリ」
小さな呟きは、谷へと消えてゆく。そう分かっていても、サラマンには、そう謝罪することしか出来なかった…。
ーフェリとサラマンが再会するまで、あと一年。
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