晩夏の葬列

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―8月24日AM11:48 丘の上市内東雲斎場― 冷房の効いた斎場内から戸外に出た国分将語の顔に、むあっとした空気が襲いかかった。 「酷暑」という言葉が実感を伴って使われるようになったのはいつだったか。 などと、とりとめのないことを思い浮かべつつ、将語は上を向いて太陽をにらみ、少し強めに涙を拭った。 数少ない葬儀の参列者がぱらぱらと将語を追い抜いていく。 あれから一ヶ月。 あのレミナスメッセの爆弾テロ事件から一ヶ月。 風間葵が死んでから一ヶ月が経っていた。 「将語」 優しい声がかかる。ゆっくりと振り向いた将語は目を赤くした英河語と向き合った。 「うん」 二人は連れだって靴の裏を溶かしそうなコンクリートの駐車場を歩いた。 言葉は、ない。 外のバス停のベンチで、数谷学が学ランを脱いで座っていた。顔はこちらに向けようとしない。 将語はまたこみ上げてくるものを感じ、太陽をにらみつけた。 あれから一ヶ月。 真道実が一切の消息を絶ってから一ヶ月が経っていた。
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