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―7月19日 AM10:39―
目を覚ますと、知らない天井だった──
なんてベタな展開はなく、俺は見覚えのある石膏ボードの天井と対面することになった。
騎士団本部の総合病院の病室だ。
春に一度、エーヌに殺されかけた時にお世話になったから覚えていた。
エーヌ……。
俺は一気に襲いかかってきた記憶と混乱に顔をしかめ、体を起こした。
白いカーテンの隙間から差し込む真夏の日差し。
風はわずかに入り込み、俺の伸び始めた黒髪を揺らす。
「ん……」
右手を握ったり開いたりして動きを確かめる。問題なし。
感覚的に、身体に異常はないと思った。
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