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「もしかして……喧嘩?」
一目瞭然だったけど、一応聞いて見た。
「まっそんなとこ」
眼を閉じて大きなため息を付いている。
その表情はどこかあどけなさがあった。
「もしかして君、高校生?」
「うん。高ニ」
「高ニ?そんなに若いの?」
私の素っ頓狂な声にその整った顔を緩めてニコリと笑った。
左側の頬には小さなエクボ。
口元には小さな八重歯がチラリと見えた。
カッカワイイ。
思わず、そう、叫びたくなった。
「若いって……ナースさんも若いじゃん」
「確かに……新米看護師だけど」
「へえ。じゃあ、もしかして俺が初めての患者?」
「まあ、夜間勤務では初めてかな」
「ふーん。運命的ってヤツだね」
さっきまでの怖い顔が嘘のように優しくなった。
「ねえ、ナースさん。やっぱ今夜は俺、入院だよね」
「そうみたいよ。ごめんね。服、脱がすからね。ちょっとベッドの高さを調整するから、我慢して」
「うん。分かった」
素直な子供のように答えて来た。
そうだ。子供と思えば服を脱がすのも平気だ。
そう。この子は男じゃないの。
まだ、子供なの。
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