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今夜の夜間勤務は宮川初子先輩と二人。
勤務する夜の整形外科病棟は当然、常備灯しか点いてなくてどこに幽霊が潜んでいても不思議じゃないくらいひっそりしている。
「急患です。急患です」
静まり返ったナースステーション内に慌ただしいコールが鳴った。
「ひゃあ~!」
そのコールに背中がビク付き、悲鳴を上げてしまった。
一緒に夜間勤務をしていた初子先輩がキリッとした顔になって私の方を向く。
まるで魂が入った感じ。
その顔……ちょっとこわいんですけど。
そして、今から喧嘩に向かうみたいにナース服の上に羽織ったカーディガンを腕まくり。
鼻が膨らんで荒い鼻息を吹いた。
やっぱ怖いんですけど。
今年、ナースになったばかりの私にとってはかなりビクつく仕草なんですけど。
まさか、まさかの救急患者。
いや、相定内だけど。
どうすりゃいいんだ?
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