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チラリと見えた素肌は筋肉質でその身体はまるで彫刻のよう。
厚い胸板の筋肉は相当な物。
ク~。患者じゃなけりゃ指で押さえてみたい。
ハッ!
男嫌いの私が何を血迷ったことを。
ダメだ。
正気を失っちゃダメだ。
幾らカッコ良くても男なんだ。
頭をフルフル振って思考を正常に戻した。
救急処置室で処置を受けた後でお腹の周りには包帯が巻かれていた。
「もしかして骨折?」
そうか。だからこの整形外科病棟に運ばれて来たんだ。
ふんふん。
その白い半被を良く見ると丁度お腹の辺りにタイヤの跡が残っていた。
「車かバイクに轢かれたのね。どんな修羅場をくぐって、ここに来たのだろう?」
「取りあえず、脱がせた方がいいよね」
静まり返った病室内に独り言だけが響く。
ちょっと、まて。
ぬ……脱がせる?
男免疫ゼロの私が男の服を脱がせなきゃいけないの?
右見て、左見ても私しかいないし。
あ―――ん。
初子せんぱ―――い。
でも、きっと呼べば怒られそうだ。
『何事も経験なんだから、自分で処置しないさい』と……
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