魔術師の娘

宮瀬 龍輝 みやせ たつき

「あら、たっちゃん！また咲希ちゃんにやられたのね～」
クスクス笑いながら近所の方々が声をかけてくる。
ちなみに、咲希ちゃんというのは姉貴の事で今年18になるあの野獣は、バリバリの八方美人である。質が悪い。
俺は近所のおばさんたちに適当に挨拶し先を急いだ。っていうのは嘘で、いつもの俺通りずるずる歩いていた。

ただ、歩いていた。