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なぜ伝聞型かというと、彼、もしくは彼女の姿をみて帰ってきたものは全員、その時の記憶を失っている。
いや、失っているのではない、記憶される前にすでに気を失ってしまうのだ。
絶対的強さを誇る『幻影』
一度でいいから手合わせしてみたいものだ。
「おっ、学院見えてきたな、そろそろ家だ。
野郎共、また今度な!」
俺は大通りを曲がると家へと続く道へ
入った。
ガチャッ
「ただいまー」
南部を統治する総長の俺だが、家に帰れば1人の高校生、特に変わったところもない普通の人間だ。
いや、変わった部分もあるな。
この銀髪だ。
親父がいうには母親が銀髪だったらしく、俺も遺伝したのだという。
母親は俺が産まれたと同時に亡くなってしまったらしく、家には写真が残っていない。
親父との写真も何故か無い。
一度聞いてみたが、何処か別なところに大事に保管しているのだとか。
「……やっと帰ったか、銀」
机の前に真剣な顔をして座っている父、夜風 玄【ヨルカゼ ゲン】
親父の髪は普通の黒だ、俺と似ているところがあるとすれば、ツンツンの髪型かな。
「……ちょっとそこに座れ」
親父は前の席を指す。
ヤベェ、明日卒業式なのを忘れて出かけたからかな。
俺は少し緊張しながら机の前に座った。
総長でも緊張するのだ。
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