第一章 ただのヤンキーですけど?

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なぜ伝聞型かというと、彼、もしくは彼女の姿をみて帰ってきたものは全員、その時の記憶を失っている。 いや、失っているのではない、記憶される前にすでに気を失ってしまうのだ。 絶対的強さを誇る『幻影』 一度でいいから手合わせしてみたいものだ。 「おっ、学院見えてきたな、そろそろ家だ。 野郎共、また今度な!」 俺は大通りを曲がると家へと続く道へ 入った。 ガチャッ 「ただいまー」 南部を統治する総長の俺だが、家に帰れば1人の高校生、特に変わったところもない普通の人間だ。 いや、変わった部分もあるな。 この銀髪だ。 親父がいうには母親が銀髪だったらしく、俺も遺伝したのだという。 母親は俺が産まれたと同時に亡くなってしまったらしく、家には写真が残っていない。 親父との写真も何故か無い。 一度聞いてみたが、何処か別なところに大事に保管しているのだとか。 「……やっと帰ったか、銀」 机の前に真剣な顔をして座っている父、夜風 玄【ヨルカゼ ゲン】 親父の髪は普通の黒だ、俺と似ているところがあるとすれば、ツンツンの髪型かな。 「……ちょっとそこに座れ」 親父は前の席を指す。 ヤベェ、明日卒業式なのを忘れて出かけたからかな。 俺は少し緊張しながら机の前に座った。 総長でも緊張するのだ。
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