第一章 ただのヤンキーですけど?

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「お前は明日、高校を卒業するよな」 「うん、進路の方はどこかでバイトしながら就職するつもり」 俺が通っている幻海学院【ゲンカイガクイン】は神山市の三大高の中で最も進学率が悪い。 なぜなら不良が多いからだ。 俺も例外ではない。 「お前には明日から自立してもらうことになる」 「……は?」 「この家も売り払う予定だ、あと1週間もすれば業者がくるだろう」 「ちょ、ちょっと待ってくれ! いきなりそんなこと言われても困る!」 親父と二人暮らしだったお陰か、家事の方は問題ない。 「生活費はどうすんだ!?」 現在、バイトはしていない。 つまり、このまま家を追い出されたら、住むとこなし、仕事なしのホームレスになっちまう。 「……父さんは今年で定年だ、この家を売り払ったら、一人身の兄と北の方でひっそり暮らすよ」 親父は手紙を一枚、机の上に置く。 「これをここの宛先に持っていけ、そうすればお前を雇ってくれるかもしれない」 「ここって……」 宛先は『中心部』の住所だ。 「そういうことだから、たまには連絡くれよ。 父さんは明日の朝早くに出発するから、もう寝るよ」 そう言って父さんは寝室へ入っていった。 「え? 俺って明日から社会人?」 波乱の人生の予想しかできない『銀狼』こと『シルバー・ウルフ』総長、夜風 銀だった。
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