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「お前は明日、高校を卒業するよな」
「うん、進路の方はどこかでバイトしながら就職するつもり」
俺が通っている幻海学院【ゲンカイガクイン】は神山市の三大高の中で最も進学率が悪い。
なぜなら不良が多いからだ。
俺も例外ではない。
「お前には明日から自立してもらうことになる」
「……は?」
「この家も売り払う予定だ、あと1週間もすれば業者がくるだろう」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!
いきなりそんなこと言われても困る!」
親父と二人暮らしだったお陰か、家事の方は問題ない。
「生活費はどうすんだ!?」
現在、バイトはしていない。
つまり、このまま家を追い出されたら、住むとこなし、仕事なしのホームレスになっちまう。
「……父さんは今年で定年だ、この家を売り払ったら、一人身の兄と北の方でひっそり暮らすよ」
親父は手紙を一枚、机の上に置く。
「これをここの宛先に持っていけ、そうすればお前を雇ってくれるかもしれない」
「ここって……」
宛先は『中心部』の住所だ。
「そういうことだから、たまには連絡くれよ。
父さんは明日の朝早くに出発するから、もう寝るよ」
そう言って父さんは寝室へ入っていった。
「え? 俺って明日から社会人?」
波乱の人生の予想しかできない『銀狼』こと『シルバー・ウルフ』総長、夜風 銀だった。
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