子供の頃から好きだ。

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「うむ。好条件だ。」 しばらく黙っていた青年がゆっくりと頷いた。 「一つ頼み事を聞いてはくれまいか?  勿論、たたでとは言わん。貴様は今、別世界にいる。これから貴様が帰りたいと感じても帰ることはできないでろう。 されど、我の頼み事を解決してくれればいつでも帰れるようにしてやる。」 そこで言葉を区切り俺の反応を待つ。 「俺にとっては願ってもない申し出です……。」 ……。 俺はこの世界を知らない。これから一生。この世界にいる気はないのに、帰れないでは、最悪だろう。 そう考えるといきなりこの世界に来てしまったがこれから見つかるかわからない帰る手段を早々に、手に入れられることは最高だ。 この申し出。破格すぎる。一体、どんな頼み事をされるというのか……。 「うむ。そうか。では、我の頼み事をまずは聞いてくれ。我の頼み事とは、今起きている戦争を止めて欲しいのだ。」 「戦争を止める?」 戦争? あの銃や兵器で殺し合うあの? 「そんなことできるはずないですよ!!」 なにが頼み事だ。無理難題をふっかけてからかってやがるな? 「うむ。人間には荷が重い話であることはわかっている。しかし、この話。不可能なわけではない。むしろ貴様ならできるはずだ。」 青年の意図が掴めない 「私はなにも出来ないただの人間ですよ……?」 「あれを見ろ。」 青年が上を見上げる。つられて上を見上げると小さな石がゆっくりと落ちてきた。 「そら、受け止めろ。」 「あ、はい」 ゆっくりと落ちてくる石の落下地点に先回りしようとする。しかし、途中で転けてしまう。「うわっ」前のめりに倒れた。落下途中の石は手のひらではなく、口に入った。 思わぬ侵入物にびっくりして飲み込んでしまう。 「え!? うわあああ!! 石が口に!! 石が口にぃぃぃい!?」
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