彼のママ

2/2
前へ
/2ページ
次へ
私がまだ18か19だった頃、くっきりとした二重で手入れのよく届いたサラサラな髪をしていたいかにもアイドル的な顔をした彼を好きになった。ある日、彼の独り暮らしの部屋に招待された。夜になりお酒もまわりムードも良い感じでこのままひょっとしたら!?と思っていた瞬間、プルルル。彼の部屋の電話が鳴った。 私『あれ?携帯あるのに家にも電話あるんだね?』 彼『うん…ちょっとね』 そう聞くか聞かない内に彼が電話に出た。 彼の友達かな?どんな話してるのかな? と色々考えていたが何分経ってもなかなか話が終わらない。不思議に思って誰?と尋ねると 彼『ママ』 笑顔でそう言う彼をみて 私『そっかぁ。独り暮らしだからお母さんが心配してるんだね』と家族仲がよさそうだなぁと思った。 たわいもない話をし、夜はふけてそろそろ眠くなったころ プルルル。 私『鳴ってるよ。私が出ようか?』 彼『いや。いい』と言って彼は私を振り切って急いで電話に出た。それはもう空腹の犬が餌に飛び付くような勢いで。 まぁ彼も男性だから他の女性から電話きたりするんだろうな~と思っていたが、しばらくしても会話がなかなか終わらない。あまりにも長いから私はちょっとイライラしつつ誰?と聞いた彼の答えは 『ママ』 その時に気付いたのだけれどその電話、よく見たらボタンが2つぐらいしかなかった。 そうなのだ。この電話、実はママ様との専用の直通電話になっていたのだ! その後も1時間おきに電話がきたり、彼も彼でずっと電話から離れないので不思議な時間でした。 なぜ、凄いモテそうなルックスをしているのに彼女がいないのか謎が解けた瞬間でした。 ちなみにこの彼、外ではまったくお母さんの話をしない。むしろ親なんてウザイでしょ的な会話をするような人だっただけに怖かったです…。 家族仲は大切だけれど1時間おきのママ様からの電話は不思議に思いました。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加