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ー(1)ー
ちょっと嬉しいことがあった日、私は母校に行った。気付けば卒業してから1度も行ってなかったから。 私はいつも遅刻ギリギリで、校門から先は走ってた。 学校は何も変わっていなかった。時が経ったことを感じるけれど。
北村(きたむら)はすごく驚いた。無理もないと思う。私はもう21才だし。
北村の机の上には、あの時の写真が飾ってあった。 「あのクラスはやっぱり特別?」私は写真を手にとって聞く。雪花(せつか)に千鶴(ちづる)に美月(みづき)に波子(なみこ)に、ちゃっかり夏美(なつみ)ちゃんも写っている。
「俺の支えだよ。1年6組は」「北村にとっても特別だったんだ。私達だけだと思ってた。北村はたくさんの生徒を受けもつんだもん、私達のことは忘れたかと思ってた。雪花は別としてね」可愛い笑顔の雪花。誰からも愛された雪花。
「雪花とは逢ってるの?」北村は首を横に振る。卒業以来逢っていないという。 「大学で若い男の子と楽しんでるのかもな。俺はそれはすごく良いことだと思う」雪花のことだからもてると思う。私はちょっと寂しいけど。
「いまはどんなクラスを受けもってるの?」
「いまは2年生。あったかいクラスだよ。教室行ってみる?」「うん」私は頷いた。
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