閉ざされた世界

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 いつまで時が止まるんだろう、と思い始めたときに時間が少しずつ動き始めた。さっきの出来事が嘘のように、時間は瞬く間にいつものスピードを取り戻す。  全身に強い衝撃を受ける。ドンッという音を追いかけるようにグシャ、バキ、という聞きなれない音が体の中から響いた。それから体が宙を舞う。 地面を背にしていたので、空が見える。日の光がキラキラしていて、「今日の空はキレイだ」なんて的外れなことを思った。  体が地面に打ち付けられる。後頭部、背中に衝撃を受け、反動でまた地面から離れる。後頭部からの衝撃が突き抜けたのか、鼻血がブシュと出た。背中の方からギチッという、何かが引っ張られて切れたような音がする。これだけのことがあったが痛みはなく、現実味が乏しかった。  そのあとの記憶はおぼろげだった。
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