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実は、裕太は捨て子である。
5歳の冬、妹の春香と一緒に両親に捨てられたのだ。
不仲でケンカの絶えなかった両親が、二人同時にアパートを出たらしい。
そこから何らかの理由があって、妹と共に逃げ出した裕太を、私が拾った。
幼かったので、難しいことはよく覚えていないし、裕太も詳しい話は私にはしてくれない。
ただ、うちの両親は全てを知っているようだった。
はっきりと覚えているのは、「うちの子になるかい」と聞いた父さんに、目一杯から涙を零しながら「はいっ」と答えた震える声だけ。
裕太は常に、何かの負い目を背負うようにうちで暮らしている。
両親の言いつけで私を守ってくれている。
そんな、縛られるような人生を裕太に与えたのは、紛れもなく私なのだ。
そう気付いた日から、私は裕太に迷惑をかけないように生きようと決めた。
それなのにこの両親と来たら！
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