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でも、そんな私の言葉も強気な態度も間宮くんには何の効力もなくて……
不敵な笑みと共に私の方に静かに手を伸ばし、その指先が私の毛先を捉える。
ほんの少し掴まれただけの毛先からはビリビリとした感覚が伝わってくる。
私の心が揺らいだのを悟ったのか間宮くんはここぞとばかりに私の目を覗き込むように距離を詰めた。
そして間を入れず止めの一言を放った言葉が私の心臓を射抜く。
「彼氏が彼女のアパートに来ただけなのに不法侵入って酷くない?」
それはあまりにも不意打ちで……
失恋の痛手を折った私の心に深く、そして鋭く突き刺さった。
――ヤバい……
不覚にも間宮くんにドキドキしてしまった。
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