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昼下がり。
会社の会議室で私は人生最悪の瞬間を迎えようとしていた。
いつもなら同僚や後輩とランチの後、給湯室でお菓子を摘まみながらの座談会を楽しんでいる時間帯。
それなのに今の私は会議室の壁に追い込まれ、身を縮めている。
しかも相手は会社の後輩の間宮 浩太。
いつも私が仕事の面倒を見て可愛がっていた相手なはずなのに、今の彼には可愛げなんて微塵もない。
それどころか憎たらしさと苛立ちしか感じられない。
彼が私に言わせようとしている言葉は、決して私が望んでいない言葉で口にもしたくないもの。
「ほら、早く言わないと休み時間が終わっちゃうよ?」
悔しそうに顔をしかめる私に間宮くんはどこか楽しそうにも見える。
「ほら、早く。それともあの事、言っちゃってもいいの?」
まるで獲物でも追い詰めるかのようにじわりじわりと私を追い込んで、見えない鎖でがんじがらめにする。
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