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――あの事……
間宮くんが口にした、その言葉に私は過剰に反応し顔を歪ませる。
「言わないって言ったじゃない……」
と同時に私からは、さっきまで威勢は嘘のように消え、声も小さくなる。
「だから黙っているには条件があるって昨日言っただろ?忘れた、なんて言わないですよね、涼子さん?」
ほら、また嫌な言い方。
ムッとして睨む私に間宮くんはゆっくりと距離を縮め、そして不敵な笑みを浮かべたかと思うと指先で私の唇をソッとなぞりだす。
ゾクリと悪寒に似たものが背筋に走り、私の胸を速鳴らせた。
「ほら、早く言ってよ。俺、そんなに気が長い方じゃないよ?」
目を細めほくそ笑む間宮くんからは妙な男の色気を感じ、目が離せなくなる。
「分かったわよ。付き合えばいいんでしょ?付き合えば」
いつもは教えている相手に不覚にも主導権を握られ面白くない私は自棄になりながら吐き捨てるように言い放つ。
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