プロローグ

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恐らくこれは僕の人生総トータルのコミュニケーション能力が試されているのだろう。 誠意を持って相手と接すればきっと想いは伝わるってお父さんも言ってたし。 んっ、んんっ! 「こんにちは、僕はアレクと申します。年齢は17歳で趣味は」 『クェェェェェェェェェェェェェェェ!!』 「あ、やっぱ駄目?」 踵を返して僕はゴツゴツとした岩肌がむき出す山道を駆け上がっていく。 その後ろから山頂の強風なんてものともしない羽音を響かせながら巨大な鳥、グリフォンが僕を追いかけてくる。 クエェェとか食べていいよ、みたいに聞こえる鳴き声してるけど絶対に僕を食べる気だあの鳴き声! 怒ってるもの!確かに気まぐれで道変えて飛び降りた先がグリフォンの巣でうっかり卵を1つ落としちゃったけども! 「失ったものは絶対に戻ってこない。人と人の信頼も同じだって遠い目をしながらお父さんも言ってたし!」 『クエェェェェェェェェェェ!!』 「せめて人の言葉で怒ってくれたら嬉しかったなぁー!!」 僕としてはこのまま穏便に事を終わらせたいのだけど、人生上手くいかないみたいです。
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