人間と魔族と恋心

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「あ…そっ、そうアレよアレ!田舎者のアレクには分からないだろうけど有給休暇ってやつよ!アタシぐらい偉い立場になればそういうのも沢山貰えたりするのよ!」 焦ったようにルゥの口調が早くなる。 しかしそんな事はどうでも良いのだ。 「だからアタシがここにいるのは別にサボってたりしている訳じゃなくて……って、アレク聞いてるの?」 「っしゃい!」 「うわっ!?」 心の中で押し留めておくつもりだったけど無理だった。 だってさ、こんなに嬉しいものだとは思わなかったんだから仕方がない。 「な、何なのよいきなり大きな声出して!」 「いや、ははっ。ルゥが僕を名前で呼んでくれたのが嬉しくってさ」 「……ど、どんだけ能天気なのよアンタは」 「能天気ってのはよく言われるよ。ところででルゥはどうして」 「だから有給休暇だって」 「いやいや、どうして頭から花が咲いているのかなって」 「!?」 少し前から急にルゥの緑色の髪に混じって白い綺麗な花が咲いていて。 何だろうかとも思ったけどルゥに名前で呼んでもらった事が嬉しすぎてちょっと放っておいたんだけど急に咲いたままずっとそのままだからやっぱり気になる。 それを聞いてみるとルゥは即座に自分の頭を触って咲いている花を確認して。 途端に顔を真っ赤に紅潮させた。 「ちっ、ちがっ!別にこれはそんなんじゃないわよ!!」 「そんなんじゃないって、綺麗な花だけど」 「うっさい!見るな馬鹿ぁ!!」 手でその花を隠すように丸くなるルゥ。 綺麗なのに、どうして隠したがるんだろうか。
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