人間と魔族と恋心

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その頭に咲く花は見られたくないものなのだろうか。 頭に咲くって言っても頭頂部じゃなくて側面に髪飾りみたいな感じだから別に変ではないのだけれど。 「大丈夫だよルゥ。似合っているから」 「……アンタ、アルラウネの事をどれぐらい知ってるの?」 「ルゥがアルラウネって魔族ぐらいしか知らないよ。後、キューちゃんとは元々一心同体って事ぐらい」 「……あっそ」 1回、小さく頷いた後にルゥは上げていた手を下げた。 今もルゥの頭には白い花が一輪咲いている。 くどいようだけど、やっぱり可愛いなぁ。 「アンタといると調子が狂うわ」 「そう?僕はルゥと一緒にいても胸がドキドキするぐらいだけど」 「だからどうしてアンタはそう平然とぉ……あーもう!」 頭を左右に大きく振るルゥ。 まるで何かをかき消すように。 「言っておくけど、アタシはアンタと違って昨日今日あった他種族に一目惚れするような変な奴じゃないわ!」 「変な奴って…」 軽く傷付くけど言い返せない。 ルゥがそう言った瞬間に頭に咲いていた白い花がスッと緑色の髪の中に引き込んだ。 どうなっているんだろうアレ。 「だけど…と、友達ぐらいにはなってあげなくもないわ」 「えっ?」 「…二度も言わせないでよ。アホ」 視線を僕から外しながらルゥは右手を僕に伸ばしてくれた。 ハッキリしろとは言われたけども、僕自身もまだ本当に恋なのかもよく分かっていない。 だから、うん。 「友達からお願いします。よろしく、ルゥ」 「からって何よからって!…ん、よろしくアレク」 初めて触れたルゥの手は僕たち人間と変わりなく暖かかくて。 だけども握手した瞬間にそっぽを向くルゥの頭にまた白い花が咲いて、やっぱり人間とは違うんだなと。 まぁ、可愛い事には変わりないんだけどね。
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