人間と魔族と恋心

10/11
前へ
/474ページ
次へ
「……甘い」 「でしょ?」 嬉しそうに、まるで1輪の花が咲いたような笑顔を僕に見せるルゥ。 可愛い、もうとにかく可愛い。実際にルゥの頭に今も白い花が1輪咲いているけどそれも含めて可愛い。 だけども今回驚いたのはそっちじゃない。 甘い、キューちゃんのツタから溢れんばかりに出てきたこの得体の知れない粘着質の物体が凄い甘い。 言い方を変えるなら凄い美味しいって言っても良いぐらい! 口に入れてみると見た目と触り心地からは想像がつかないぐらいに飲み心地が良い、っていうか溶ける!口の中で唾液に触れた瞬間に凄いサラサラになるような感じ。 それでいて何て言うの?凄い凝縮された甘さ!甘味の甘味みたいな!もう自分でも何言ってるか分からなくなっているけどとにかくそれぐらい凄い! 僕としてはもっと虫みたいな味がすると思ってたもの!虫なんて食べたこと無いけどさ! 「アルラウネってね、植物としての必要最低限の栄養さえあれば生きていけるんだけどそりゃ魔族だもの普通の食事だって出来るわ。その食事で食べた物の栄養素と旨味を濃縮したのが今舐めたやつなの。アルラウネシロップって言って魔族の中でも高値で取引されているのよ?」 「へぇ、凄いんだねアルラウネ。ツタからそんなのが出せるんだ」 「でしょ!?あ、ちなみにシロップが出るツタは擬態で触手ね」 「…触手とツタって何か違うの?」 「違うわよ。ほら、こっちがツタでこっちが触手」 そう言ってサラッと、当たり前のようにルゥは両手のひらから細長いツタ?を伸ばして、両ヒジから細長い触手?を伸ばした。 ルゥがキューちゃんと合体しないで触手なのかツタなのか、言われてもサッパリ違いが分からないけどそれを出したのを見たのは初めてだ。 やっぱりアルラウネって魔族なんだなと思いながら。 1つの仮説が僕の中に生まれた。 だけど僕の右手にはキューちゃんのシロップがあるし、ふむ。 けど、味の違いとかあるのか気になるし、うん。 「ねぇルゥ」 「どしたの?あっ分かったツタと触手の違いが分からないんで」 「ルゥのシロップが飲みたいな」
/474ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1326人が本棚に入れています
本棚に追加