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“鳥籠”。
その存在を一般の人々は知らない。
どこにあるのか、どういった施設なのか……そういったことを知らないのではない。
“鳥籠”そのもののことを、見たこともなければ聞いたことすらないのだ。
ケイヤ、マサア、タヤク、そしてキーナの四人は、その施設に“閉じ込められて”暮らしていた。
食事を運んでくる者と、彼らを“検査”する者、そして一人一人を“教育”する者が、外から中に入って出ていくだけである。
ケイヤ達は“教育者”以外の人物たちのことを、“飼育者”と呼んでいた。“教育者”がそう呼んでいたからだ。
ここにはいないもう一人の少女を含めて五人。
彼ら彼女らはそれぞれ別の“教育”を施され、何年も生きてきた。
そうしたある時に、ケイヤが言ったのだ。
『ここを逃げ出す』
その引き金になった出来事を、ケイヤは……思い出したくなかった。
そしていま、彼の言葉は実行に移され、深夜の逃亡劇が始まったのである。
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