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「誰を、殺すのですか?」
「黙秘します」
「……何処で、殺すのですか?」
「黙秘します」
「…………何故、殺すのですか?」
「黙秘します」
俺は、書類とボールペンを、デスクに放り投げた。
ボールペンはデスクの上で跳ね上がり、烏間榮の足元に転がり落ちる。
「ふざけないで下さい。僕も暇じゃあないんですよ」
少し、ドスを効かせて喋ったというのに、烏間榮は、可笑しそうに微笑みながら、足元のボールペンを拾い、細く長い指でくるくると回し始める。
……、やっぱり悪戯か。わざわざ警察署に赴くのは、少し過激な気もするが。
業務執行妨害ですよ、と言ってやろうかと思ったが、ここまでしてただ訴えられに来たわけじゃないだろうし、何より本能が、この女に関わるなと言っているので止めておく。
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