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「フフフンフ~ン♪」 私が陽気に鼻歌を歌いながら、歩いていると、まもなく森が見えてきた。 小さい森だからあまり怖くはないし、小さな動物もちらほら姿を見せている。 「赤ずきんちゃん。」 「あら、小鳥さんおはよう!」 「今日も頭のずきんが可愛いね。」 「ありがとう!」 私のほんとの名前は「アン」 赤いずきんをいつもかぶってたから、みんなからは「赤ずきん」と呼ばれてる。 赤ずきんはお気に入りだから、この名前は結構気に入ってるんだ。 「あ、見えてきた!」 赤い屋根の小さなレンガづくりのおうち。 あそこにおばあちゃんが住んでいる。 「おばあちゃーーん!!」 おばあちゃんに会うのが待ちどうしすぎて、私は叫びながら走り出した。 コンコンッ 「おばあちゃん!赤ずきんだよー。」 「赤ずきんなのかい?入っておいで。」 中から少し低めの声がした。 体が悪いから風邪でも引いちゃったのかな? 「おじゃまします。」 中に入るとおばあちゃんがベッドで頭まですっぽり布団をかぶって寝ていた。 「赤ずきんや。よくきたねぇ。そこのいすにお座り。」 布団から手を出し、ベッドの近くにあるいすを指さした。 そのとき見えた手。 なんか、普通の人より大きいような気がしたけど気のせいかな? 「おばあちゃん、こんにちわ。これ。お母さんが今朝焼いてくれたんだよ!」 「あら、ありがとぅねぇ。一人でえらいわねぇ。そこにおいといて。」 頭を布団から出しもせずに、手だけを出して机を指さした。 「おばあちゃん。どうして頭を出さないの?」 「それはね。おばあちゃんは寒くて寒くて仕方ないからねぇ。こうしてないと凍え死にそうなのよ。」 「そっか。じゃあ、もうひとつ。 どうしておばあちゃんのおててはそんなに大きいの?」 そう言ったとき、少し周りがシーンと下気がした。 しばらくして、おばあちゃんはこう言った。 「それはね。 お前を強く抱きしめるためだよ。」 相変わらず、変に低い声が少し気になるけど、幼い私の頭じゃよくわかんないや。 「そっか!」 無理やり解釈して、いすに座った。
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