4人が本棚に入れています
本棚に追加
6時限目の終りを知らせるチャイムが鳴った。もうそんな時間か―なんて少女漫画じみた事を考えてみた。
そして楽しみの……
「美紅ー!一緒に帰ろうぜ!」
ボーイッシュな口調で話しかけて来たのは優奈。
いつもこの言葉から、今から集まりだ!と実感を持つ。
うん、今行く待って、と鞄に教科書を仕舞いながら言った。優奈は急がなくて良いよ、と言う様に優しい顔をした。
教科書も片し終わり、クラスメイトの8人と一緒に優奈の家に向かった。
そこで、前から疑問に思っていた事を優奈に聞く。
「ねぇ――あの男の子、霧人って居るでしょ?あの子って誰かの兄弟?それとも一人で来てるの?」
そう聞くと優奈は即座に質問を返した。
「ああ――霧人君なぁ。前島の弟だよ」
前島って誰だろう?と思ったけれど、そこはスルーで。きっと優奈の友達なんだろう。
「そっかー。ちなみに前から優奈は知り合いなんでしょ?」
そこで、女子中学生らしい話題を持ち掛ける。
「どう思ってる?霧人君の事」
その質問――つまり、霧人君への恋愛感情についての話題に、優奈は困っている様だ。
顔に書いてあるってこういう事を言うんだろうなー。優奈は紅潮した顔をこっちへ向け、本当に小さい声で言った。
「好き――だと思ってるけど?」
ボーイッシュな優奈にしては珍しいじゃん、と隣に居た女子がからかうと、優奈の顔を益々紅潮した。
最初のコメントを投稿しよう!