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優はそれでも何とか説得しようとしてきたが、俺は頑として譲らなかった。 仕方がないので、優は別々に入ろう、と提案してきた。 俺はそんな面倒なことしなくてもいいと思うが、優がそうしたいならそれでいい。 俺が先に、その3分後に優が入ることになった。 優が後なのは優の意見だ。 俺が少しでも遅刻した時間が少なくなるように、だそうだ。 優はいつもいつも人のために行動する。 しかも頑固だ。 相手にとっては有難迷惑なこともあるだろう。 けれど、俺は優のそういうところを結構気に入っている。 だからこいつの善意は出来るだけ受けるようにしている。 俺が教室に入ると、クラスの連中の大部分が後ろを振り向く。 こいつらのこういうところにいらいらさせられる。 遅刻してきたやつの顔を見て、どうなるっていうんだ。 行動に無駄の多い馬鹿どもが…… 教師も一瞬こちらを睨むが、とくに何も言わず授業を再開する。 ……いらいらする。
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