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毛布を頭まで被って思いきり息を吸い込む。 「変態…」 でも好きなのだ。この匂いが。 毛布にくるまりながらごろごろしていると、今度は甘い匂いがしてきた。 懐かしい匂い。 覚えている過去で一度だけお母さんが作ってくれたホットケーキと似てる。生焼けだったけれど。 ガチャッとドアを開けて死神が入ってきた。 すると部屋にさっきよりも甘い匂いが入ってくる。 「甘いもの好き?」 甘いもの…。 もしかするとこの匂いの正体を食べさせてもらえるのかと思い、頷いた。 一旦部屋を出た死神は、手に皿を持ってすぐに戻ってきた。 皿に乗っているものが何なのか分かった途端に胸が踊る。ずっと食べてみたいと思ってたクレープだ。 フォークでつついて一口食べる。 おいしい…。 生焼けホットケーキとは比べ物にならないくらいおいしい。 比べるのも失礼だけど。 食べ終わりフォークを置くと、タイミングを見計らっていたかのように切り出された。 「家連絡したら?携帯貸す」 普通はそうだ。家のことが出てくるに決まっている。 「親いない」 「親戚は?」 (面倒なことに巻き込まれるのは嫌だ) 「いない」 巻き込みません。すぐ出ていきます。 「名前は?」 「律」
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