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(りつ…どんな字だ。普通に律するの律か) 「そう、それだよ」 しまったと思ったがもう遅かった。もう一つの声に答えてしまっていた。 「あ?ああ、そうか」 (勘のいいやつだな) 勘…。そう捉えてもらえて良かったと思った。 今までたくさんあった。ミスをして心の声に答えてしまったこと。 その度に気味悪がられ、気づくといつも一人ぼっちになっていた。 だから今ではもう気にしていない。ミスをしたらしたでしょうがない。気味悪いと思われて終わりでいい。 だから、今さっき感じた焦りは久しぶりだった。 きっと俺は、死神には気味悪いと思われたくないんだろう。 「死神…っじゃない。あなたは?」 「正一」 しょういち…どんな字書くんだろう。 それを聞こうと口を開いたタイミングで、逆に質問された。 「服、気に入らなかった?」(なんでいつまでも裸なんだよ) 「裸でいるの好き。ねぇ、名前、どんな字?」 匂いがないから嫌だなんて答えるわけにいかない。適当に理由を述べて、聞きたいと思っていたことを質問した。 「正しいに、漢数字の一」(裸族ってやつか) 「そう、裸族…」 答えた瞬間、しまったと思った。 「さっきからなんかさ…」 嫌だ…聞きたくない。言わないで。 死神からは言われたくない。 次に言われる言葉が怖くていてもたっても いられなかった。 まだふらつく体で急いで貸してくれた服を着た。 「お世話、ありがと」 一言礼を言い、逃げるようにして死神の家から出ていった。
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